解体工事に欠かせない重機の数々。ひとつの工事で、いくつもの建設機械が使われることをご存知でしょうか。
今回、大阪府松原市にある建設機械リース会社の株式会社リンクさんにご協力いただき、解体工事に使われる建設機械について営業所長の芝本さん、工場長の長谷川さんにお話を伺いました。
株式会社リンクさんは、建設機械を扱うリース会社です。建設機材の種類、実際にどんなものがあるのということをご紹介していきたいと思います。
当社は大阪府下5カ所、奈良に1カ所営業所を構えており、地元のお客様を中心に土木業界全体の会社様とお付き合いをさせていただいております。リースだけでなく、販売や修理にも力を入れています。社名の「リンク」という言葉には繋げる・結びつけるといった意味があり、地元のお客様と関係を深めるといった思いが込められています。
また、会社のロゴマークである赤富士は、めったに見ることができないため、赤富士を鑑賞した人には、災厄から免れたり、商売繁盛など願いが叶うと言われていることからモチーフされています。
YouTubeで重機が視聴できます!
整備工場では、お客様からオーダー入った機械に対し正常に動くかどうかの点検・整備を行い、機械の搬入までを行います。また、返却された建設機械の洗浄やメンテナンス、破損や故障がある場合は修理も工場内で行います。貨物車両の車検もこの場所で行っています。
事務所から少し離れたところには第二センターがあり、「バックホー」と呼ばれる重機がたくさん置かれています。バックホーとは、土をすくう用途の機械の総称です。規格によってさらに細かく分類され、一般的にショベルのバケットの容量によって「コンマ1」「コンマ2」などと呼ばれます。機械の型番にもそれぞれ意味があり、アルファベットや数字の組み合わせで仕様や規格を表しています。
解体工事でお馴染みのバックホー。大きさや仕様の異なるバックホーは、それぞれどんな時に使われるの?
株式会社リンクの第二センターには大型のものから小型のもの、アームの長いものやキャタピラの長いものなど、非常に多くの建設機械が置かれています。それぞれの機械の用途をご紹介します。
コンマ1〜2のバックフォーは街の下水工事や道路改修工事で見かけるサイズで、機械のお尻が少しスリムになっているのが特徴です。街なかで行う工事は工事範囲が非常に狭いので、通行人等に当たらないような仕様になっています。キャタピラがタイヤのようにゴムで作られていて、路面を傷つけないようになっています。緑色のものがKubota製、黄色がヤンマー製です。センターの奥には、土工事や河川工事、大規模な工事に使われるさらに大きな機械が置かれています。
コックピットの前にガードがついているものが解体専用の機械ですね。今は3面ガードがついている機械が主流となっています。安全対策に関する法律も厳しくなっていますので、飛来物からの危険を守るためのガードがついていない機械は安全面からの入場制限で入ることができない現場がかなり増えています。
「SK210LC」の「SK」はコベルコの製品の型番に付けられているもので、「210」は自重が21トンあるということを表しています。「LC」はロングクローラー(キャタピラ)のことを表していて、キャタピラが長いとその分だけ安定性があるということになります。
解体機のなかでもアームが長い機械は、ビルなど高いところの作業をする目的のものですね。奥にある「SK135SRDLC」の「SR」は、お尻が丸くなっていて狭いところで旋回しても機械の幅からはみ出ないので、工事範囲が広くない場所に適しています。
「D」は解体機のことですね。「135」は13.5トン。これはコンマ45クラスのバックホーです。今はヘッドが付いていない状態ですが、ここにさまざまなアタッチメントをつけて使用します。アタッチメントには、コンクリートを砕いたり鉄骨を切断したりと、用途によってさまざまな種類があります。高いところに適しているロングアームの機械は4〜5階の工事ならゆうに届きますが、2〜3階の工事だとアームが長すぎて作業しづらくなりますので、工事を進めていくにつれて適切な機械を使い分けていく必要があります。
コンマ7クラスのコベルコ建機(神戸製鋼製)の「SK210D」は、解体機では一番値段の高い部類で、購入時の価格は新車で2000万円弱です。今はコロナ渦・円安・ウクライナ情勢などの影響で商品や部品が不足しているので、新車は1年〜2年待ちとなっています。
建設機械はだいたい5年償却ですから、2000万円弱の機械を購入すると算定すると月々30万円、金利を入れると月々35万円くらいが分割費となります。建設機械は非常に高額なので、必然的にリース費用も高額になってしまいます。工事費用に加えてこうした機材の費用もかかるので、土木工事の費用は高額になるのです。
仕様にもよりますが、日立製のこの機械はコンマ45クラスのバックホーのなかでも最も高額な部類の機械なので、一昔前だと1500〜1600万円。年々価格が上がってきていますので今はもう少し高額になりますね。
「SK75SR」はコンマ25クラスのバックホーです。アームの先についているバケットがスケルトンになっていますが、このスケルトンバケットはどういった用途で使われるのでしょうか?
解体工事は土をすくうというよりもガラ(コンクリートの破片)を一緒にすくう作業ですから、バケットをスケルトンにすることで、すくう際に土とガラを分けることができます。スケルトンバケツは別売りの部品ですので、リースで借りていただく際には本体とは別に追加で費用をいただいています。
解体工事だけでなく土木工事、建設工事、造園工事とさまざまな工事がありますが、1台の重機で全ての工事を行えるわけではないので、必要に応じた機械をたくさん揃えておかないといけません。しかし、工事に必要な機械を全て揃えるとなると数十億円と莫大な費用がかかってしまうので、自社で機械を揃えることは難しい。そこで、さまざまな建設機械を揃えているリース会社に依頼し、必要に応じた機械を必要な期間、必要な数だけレンタルをして工事を進めていきます。
用途によって細かく使い分け。建設機械のアタッチメントをご紹介
バックホーのアームの先についているアタッチメントは、必要に応じて付け替えることができます。ここでは、解体工事で使用するアタッチメントを中心にご紹介します。
ここに置いてあるのは、カッターや大割、小割などのアタッチメントです。バックホーのアームの先にこうした用途ごとのアタッチメントをつけて使用します。鉄骨カッターは、油圧でガバッと開き、鉄骨を切断していくもので、用途ごとに鉄骨、コンクリート、木造のフォークなど種類があります。小割のコンクリート破砕機は、先でガラをつかんで破砕し、粉々にします。カニみたいな爪のものが両シリンダーの大割のカッターで、大きいままのガラをつかんでぐしゃっと破砕するものです。
ホークの先のような形をしたものは木造の解体用のアタッチメントで、解体作業で使用するごく一般的なものです。コンマ7の「ブレーカー」というアタッチメントは、ノミのようなものでガンガンと打撃を与えてコンクリートや岩盤を砕きます。これまで紹介した圧砕機は打撃を与えず破砕するのに対し、こちらは打撃を与えるので振動が大きくなるところが特徴です。
液晶モニターやバックモニターも! バックホーのコックピット内部
次に、バックホーのコックピットの内部をご紹介します。昔の機会は数値を針で示していましたが、最近の建設機械はデジタルのものが主流だそう。メーカーによって仕様が異なりますが、今回はKOMATSU系操作仕様のコックピットをご案内します。
アームをあげたり下ろしたり旋回したりする動きは、全て両サイドにあるレバーで行います。前方のレバーはクローラーを前や後ろに動かすためのものです。左側には安全レバーがあり、このレバーが上がっていると機械が動かないようになり下げると機械が動くようになります。最近の機械にはバックモニターがついていて、車や人がいて事故にならないように確認することができます。また、昔の建設機械とは異なり、油圧計の数値も針ではなくデジタルで表示されます。
お客様から返却されたバックホーは洗車をし、ピカピカの状態で新たな現場へ!
センター内には洗車場があり、専用の洗車ロボットがあります。返却された機械についた泥や土などの汚れを高圧洗浄機で徹底的に洗い流します。
お客様から戻ってきたばかりのコンマ45の機械です。クローラーの足回りに土がこびりついてカチカチになっています。このままではベアリングや歯車が摩耗して故障の原因になり、お客様に貸し出すときにトラブルが起きてしまいますので、センター内にある洗車場で洗車を行います。
固まった土はスコップでも歯が立たないくらいカチカチなので、こうした専用の機械が必要です。土がなくなってピカピカの状態になれば、次のお客様に貸し出すことができます。できるだけ長く安全に使えるよう、こういう細かな作業にも手間がかかっており機械への思いやりが込められていますね。お客様から返却された機械をそのまますぐ別のお客様に貸し出すのではなく、洗車や点検など丁寧な整備を行うことがこうしたリース会社の整備班の重要な仕事なのです。
ダンプトラックの整備工場と保管場所。工事現場でよく見かけるおなじみの車両は、こうして丁寧に点検・整備されています
ダンプトラックの工場では、車検や修理がメイン業務となっています。陸運局から許可の降りた工場内で、資格を持った整備士が責任を持って整備を行っています。貨物車なので車検は1年おきにやってきます。作業時間は部品をバラして点検し元に戻すまでに1日程度ですが、破損や故障箇所があれば3日〜1週間かかることもあります。
こうした作業によって、現場の人間が安心して機械を使うことができるわけですね。
工事車両ですので破損箇所が多く、修理の作業も多いですね。また、これから夏に向けてエアコンの効きが弱いという不具合が増えてきます。どんどん気温が高くなってきてエアコンのコンプレッサにも負担がかかってくるので、そちらの点検・整備も念入りに行います。
点検済み車両の保管ブースでは、解体工事でもお馴染みの4トントラックやユニック、2トントラックや軽トラックが並んでいます。足場を立てられない高所で作業する時に、屋根を補修したり看板を取り付けたりする高所作業車もあります。
昔と違い今は普通免許、準中型免許、中型免許と、免許証の種類によって乗ることができるトラックの種類が細かく分けられています。ご自分の免許証の種類を確認し、注意して乗っていただきたいです。
建設業に関わる方には馴染みのある機械が多く、建設業以外の方には初めて見るような機械や部品もあったのではないでしょうか。私たち工事業者は、現場で関わる業者様はもちろん、リース会社などの業者様とも連携を取りながら、日々安全でスムーズな工事を進めています。
最後に、株式会社リンクでは従業員を募集しています。経験者・未経験者は問いません。
委細面談
株式会社リンク 松原営業所
〒580-00469 大阪府松原市三宅中8丁目1250-1
072-337-1145
担当 芝本
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